こわくて振り返れない。
振り返っちゃいけない。
振り返ったら最後、捕まってしまう予感に歯がカチカチ鳴る。
とにかく人のいるところ、それか交番に行かなきゃ。
交番ってこの辺だとどこになるんだっけ。
わからない。どうしよう。
こわいこわいこわい!
青信号が点滅している交差点を、強引に走って渡った。
それでもまだ、後ろから追いかけてきている気がして立ち止まれない。
頭が真っ白になり、どこに向かえばいいのかもわからなくなった時、突然腕を掴まれて咄嗟に「やめて!」と叫んだ。
捕まった! 私どうなるの!?
「おい、佐倉! 俺だ!」
「……え」
名前を呼ばれ、おそるおそる顔を上げると、くっきりと眉を寄せた一ノ瀬くんがそこにいた。
「い……一ノ瀬、くん?」
「どうしたんだよ、全力疾走して。危ねぇだろ」


