ドアに隠れて救世主に拝んでいると、すぐに一ノ瀬くんが教室から出てきて、私を見てギョッとした顔をした。
「何やってんだお前」
「一ノ瀬くん! いやあ、ちょっと高橋くんに感謝の念を送ってたの」
「意味がわからん。廊下に出てこいってあいつに伝言頼んだのって、お前?」
「あ、そう! はー、よかった。あのね、私と一ノ瀬くんのお弁当、入れまちがってたみたいで」
「弁当? ……ほんとだ。母さん入れまちがえたのか」
中を確認してため息をつく一ノ瀬くん。
やっぱり一ノ瀬くんも気づいていなかったんだ。
あのまま森姉妹の前で、私のお弁当を開ける事態にならずにすんでよかった。
私、危機一髪だった。
「私が今朝、京子さんのこと急かしちゃったからだと思う。ごめんね。これ、一ノ瀬くんのお弁当」
「ああ。わざわざ悪かったな」


