動揺しすぎて一ノ瀬くんの顔をまともに見られなくなって、朝イチで担任に呼ばれてる、なんて嘘をついて、いつもより早い電車に乗ってしまった。
せっかく京子さんがお弁当を作ってくれたのに、お礼もそこそこに家を飛び出してきちゃったし。
謝った方がいいかなあ。
でも同居のことは秘密にするって決めたから、学校で話しかけるのは難しいし。
放課後まで待つか。
「千秋ってばそのほっぺどうしたの~?」
悩んでいると、廊下の方からそんな声が聞こえてきたのでそちらを見れば、ちょうど一ノ瀬くんがうちのクラスの前を通るところだった。
いつも通り高橋くんと一緒で、森姉妹がそのうしろをカモの雛のように追いかけている。
「うるせーな。弟とケンカしてやられたんだよ」
「え~? 弟くん、小学生だっけ? やんちゃなんだぁ」
「女だったら殺してやろうかと思ったけど、弟ならしょうがないね~」


