「その心意気はいいけど、間違えるなよ?」
「間違えるって、何を?」
「男に慣れる必要はあるかもしれないけど、警戒しなすぎるのも良くないだろ。心を開いても自衛は大事だ」
「はあ。自衛……自分を守るってこと?」
「春陽は天使じゃない。ただの小学6年の男子だ。来年は中学生になる」
一ノ瀬くんの言葉に目を見開いた。
「中学生……! そう考えると、思ってるより春陽くんて大きいね」
「そうだよ。来年あたりからきっと背もぐんぐん伸びて、天使なんかには間違っても見えなくなる」
「えっ! それはちょっと残念かも……」
「お前な……」
「は! ご、ごめん。ええと、自衛大事。そうだよね。痴漢とか、あとつけられたりとか考えたら、自衛してないとまずいよね」
慣れるのと誰彼かまわず気を許すのはちがうってことかな。
とりあえず知り合い、同級生くらいには気を許せるようになりたい。


