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「結局いいところ全部、朔也に持っていかれたよ」
空き地からの帰り道。私は日比谷さんと並んで歩いていた。お兄ちゃんはまだやることがあると言ってあの場所に残った。
「心配しなくても全員坊主にするくらいだから平気だよ」
「え、ぼ、坊主ですか?」
私はもうお兄ちゃんが制裁してくれただけで十分というか……。そもそもお兄ちゃんが倒してくれたおかげで私は傷ひとつ付いてないわけで。
「不良にとって髪の毛は命だからね。これでもう雛子ちゃんになにかしようと思うヤツはいなくなるよ」
お兄ちゃんはまた私のことばかり。
たぶん今日、お兄ちゃんは家に帰ってこない。
きっといつものように友達のところを転々としたあと、三日後ぐらいに「腹へったー」って帰ってくる。
そんな姿が目に浮かぶ。
「いいな。こんなにも朔也は雛子ちゃんに想われてて」
つい緩んでしまった顔を日比谷さんに見られてしまった。



