「本当にひとりでやっちゃったね」
気付くと、お兄ちゃんはこの場にいた男たちを全員倒していた。鬼の頭と言われるお兄ちゃんだけあって、一発も食らわずに。
「ケガは?」
お兄ちゃんは不機嫌に私のところへと戻ってきた。
「ケガはしてない。お兄ちゃんは?」
「するわけねーだろ。ってか、なんですぐに電話しねーんだよ。こっちはあちこち探しまくってそれで――」
「ありがとう、お兄ちゃん」
声を遮るように、お礼を言った。
お兄ちゃんも言葉足らずだけど、私も同じ。
考えてみればこうして、面と向かってお兄ちゃんに感謝したことなんてなかったから。
「うん」
ぶっきらぼうに返すお兄ちゃんは少し恥ずかしそうにしていた。
不良になったお兄ちゃんは変わってなんかない。
これからもずっとずっと、私の自慢で、私の大好きなお兄ちゃんのままだ。



