「だから早く鬼頭に電話しろよ」

「……イヤです」

「あ?」

「絶対にイヤです」


お兄ちゃんが傷つけられるぐらいなら、自分が傷ついたほうがいい。



「いや、拒否権なんてキミにないから。それとも痛いことされなきゃ分かんない?」


男たちが脅すようにして詰め寄ってきた。



「いいんだよ。別に?でも彼女のキミが俺らに汚くされてるところ見たら鬼頭は泣いちゃうんじゃないかな」

「………」

「彼氏が悲しむところ見たくないでしょ?」

「……彼氏じゃないです」

「は?じゃあ、お前は鬼頭のなんなんだよ」


そう問われた瞬間に、ビュンッと鋭い風が私の顔の前を横切った。



「妹だよ」


そんな声が聞こえたと同時に、お兄ちゃんの飛び蹴りが男たちに直撃した。