すると、なぜか男たちはゲラゲラと笑いはじめた。



「いやいや、あの鬼頭がバイクの後ろに乗せるなんて彼女以外ありえねーから」

「あいつ色んな女から言い寄られてもずっと興味ないってスカしてたんだよ」

「でもやっと彼女作ってくれたみたいで安心したよ。だって、弱点ができたってことじゃん」



この人たちはお兄ちゃんの知り合いなんかじゃない。


お兄ちゃんに……恨みがある人たちだ。



「それでお願いがあるんだけど、鬼頭に連絡してくれない?」


おそらく私を人質にしてこの人たちはお兄ちゃんになにかをする気なんだと思う。



「……自分たちで見つければいいじゃないですか」

「それじゃ意味ねーだろ。彼女っていう弱味を利用して、前に殴られたぶんの復讐をするんだからよ」



お兄ちゃんは自分から喧嘩を売らない。

だからきっとこの人たちはお兄ちゃんに喧嘩を売って負けて、それで逆恨みをしてるに違いない。


こんなに人を集めたうえに、凶器を持って待ち伏せしようとするなんて、卑怯すぎる。

というか、器が小さすぎて呆れてしまう。