気付くと私は空き地のような場所にいた。辺りを見渡すと10人以上の男たちがいて、手には金属バットを持っている。

なにひとつ状況が理解できないけど、どうやら私は変な匂いを嗅がされて気を失っていたようだ。



「……だ、誰ですか?」


声も足も震えて、身体に力が入らない。

そんな地面に座り込む私のことを男たちはニヤニヤしながら見ていた。




「キミの彼氏の知り合い」


……彼氏?



「俺ら昨日見たんだよ。キミが鬼頭のバイクの後ろに乗って同じ家に入っていくところ」


なにを言っているか分からないけど、たしかに私はあのあとボーリング場から再びお兄ちゃんのバイクに乗せてもらった。

そして、珍しくそのまま一緒に帰宅したことは間違いないけれど……。



「わ、私、彼女じゃないです!」

なんだか勘違いされてる?