「はい、じゃあ次、涼くん」
「ことね、こっちおいで」
「どこに行くんです?」
 その声に答えることはせず、私の手を取り歩き出す涼さん。
「涼、さん?」
「どこに行くかなんて、どうでもいいじゃない」
「どうでもよくないですって……」
「…そうかな?」
 そう言いつつ、私の方を向いて笑顔を見せる。
 その整ったきれいな顔を見て、私は不覚にも少しドキッとする。