とても静かな眸で見つめられていました。
私が感じた苛烈で冷たい気配は、そこにはありません。むしろ静かすぎるくらいに。

「・・・忙しい女だな。泣いたり笑ったり、怒ったり」

ふと淡く緩んだ眼差し。

「そういうオマエを見てるのが、オレの生き甲斐なんだろうさ。・・・他のコトなんざオマケだ。気にしちゃいねぇよ」

素っ気なく。あまりにサラリと言われて、意味が染み込むまで時間がかかった。


『生き甲斐』・・・って。

瞬きも、息さえ忘れている私。

貴方の生きる喜びになれる、って。

そう思っていいんですか・・・?

『愛してる』より、『結婚してくれ』より。

いま死んでも後悔がないくらい欲しかった言葉だったって。

貴方は知っていましたか・・・?

胸が千切れそうに嬉しくて嬉しくて、嬉しかった!・・・って。

貴方は知ってましたか?




「・・・今、一生分の幸せをもらえたので。もうあとは何もいらないです」

涙ぐみながら一生懸命に微笑めば。

「まだ小指の先ほども、くれてやってねーぞ?」

不機嫌そうに目を眇めて。貴方はそう言った。