到着した場所は、水の都、トレーネだった。

「この街って、こんな風に見えているのね」

ビアンカの言葉にエリーは首を傾げた。

「ビアンカさんは、こうして見たことがなかったんですか?」

「そりゃあそうよ。この薬使ったことなかったもの」

「そうなんですか」

「そうよ。だけど今日は特別。一日中、あんたとこの街を歩き回るつもりよ」

覚悟してね、とビアンカはまたエリーに向けてウインクをする。
エリーは楽しそうに笑い、頷いた。


全てがガラスでできているような、透明感溢れる街。
相変わらずの美しさだ、とエリーは思う。

「泉に行きましょう」

「はい!」

泡沫祭では、人魚たちが空を飛んでいるように泉で踊っていた。
その光景を思い出しながら、泉へ向かう。