しばらく会話を聞いていたエリーは静かに席を立ち、追加のおつまみをキッチンに用意しておき、部屋へと戻った。
ベッドでくつろぐリヒトの姿を見つけ、エリーは微かに微笑んだ。

エリーに気が付いたリヒトは顔を上げて、首を傾げる。

「ただいま」

エリーがそう言うと、リヒトはふわふわとエリーの傍へ飛んで行く。
エリーの周りを何周か飛び回り、やがて少し心配そうな表情でエリーの頬に手を当てた。

「大丈夫だよ」

にっこり微笑んで言うと、リヒトも眉を下げて微笑む。
エリーはそのままベッドへ向かい、ごろんと寝転がった。

「……わかってたけど」

エリーは誰に言うでもなく呟く。

「勝手に家族のようなつもりでいたみたい」

リヒトが心配そうにエリーの顔を覗く。
そんなリヒトに向かって、エリーは微笑んでみせた。

「過ごした時間の長さには、敵わないよ」

その言葉にリヒトは一生懸命首を横に振る。
エリーは笑って、ベッドから起き上がった。