思い出すのは、鳳凰 正人のことばかりで。


「はーっ。止めた止めた! 緊張して、あんまり他のこと覚えてないだけだし。お風呂入ろっと」



しかし、浴槽内でよくよく今日の出来事を鮮明に取り戻し始めた私は、赤面しながら叫び声を上げることになる。



「……あーーーーっ!! そう言えば私、なんか手ぇ繋いで引っ張ってた気がするーっ! いやぁぁぁぁぁぁあ恥ずかしいぃぃぃぃ!!」



少女の羞恥にまみれた桃色の叫び声は、夜の帳へと消えてゆくのであった。




〈 episode.1 終 〉