それからも、私たちのコミュニケーションは一向に変わらなかった。


「よし、次はあれに乗るよ!」

「上等じゃねぇか。負けねぇからな」


アトラクションごとにどちらかが喧嘩を吹っかけては、片方が負けじと意地を張って、競い合う。

「うっし、また俺の勝ちだな」

「キーっ! 悔しい!!」

ヒートアップしすぎて、本気で小突いてやろうかと思う瞬間もあった。


結果、2勝2敗の引き分けになったところで『カレイドスコープ』の万華鏡から、夕方5時を知らせる鐘が鳴り響く。


「あ、もうそんな時間かぁ……」


噴水の前の柵に腕を乗せ、ぼんやりと今日楽しませてもらった『カレイドスコープ』全体を見渡す。


隣ではマサトが柵にもたれかかり、スマホを弄っていた。