─『はぁ? お前は、助けて欲しくないのかよ』─

─『助けて、……欲しくない。放っておいてよ』─



城之内からの魔の手が忍び寄る私を助けてくれたのは、他の誰でもない……マサトだった。



─『友だちを助けようと手を伸ばせた自分を、もっと褒めてやれよ。俺は好きだぜ? ノゾミのその、馬鹿正直なところ』─


自分自信に嫌気がさすような暗い過去から、引っ張り上げてくれたのも。



それから、病気が進行して……具合が悪くなって学校を休みがちになっていったんだっけ。



そんなことも知らず、私は……夏祭りでトオルくんから、幸せをたくさんもらっていた。


体育祭では、栗木さんからあらゆる矛盾を指摘された。



どれだけ傷つけようが、トオルくんと別れることを決めたのも、この場所だった。



ふわりとそよ風が、これまでの日々をさらっていく。



……嗚呼、桜の花びらが散るたびに、この場所を愛した日々を知る。