「Z組、どうしちゃったんだろうね?」
「なにが始まるんだろ〜」



周りの生徒達もざわめく中、白虎町くんがマサトの卒業証書を受け取る。



「ほら、マサト。受け取ったったで?」


白虎町くんが、卒業式の最中にも関わらずスマホを持っているトオルくんに、卒業証書をちらつかせる。


スマホの画面の中には、アメリカの病院で手術を控えてベッドに伏す、本人の姿が。



《おう、サンキュー》


卒業式に出席できない彼のことを考えて、ライブ中継で卒業式に参加できるようにしてあげようと言い出したのは、トオルくんだった。


「よかったな、マサト」

《ナイス名案だな。さっすがは桜島高校が誇る天才》

「お前が言うと、嫌味に聞こえるぞ」

「ちょっと、マサトもトオルもこんな時まで喧嘩しない。本当はふたりとも、嬉しいくせに」


玄武くんになだめられ、マサトとトオルくんは数秒間見つめ合った後、互いに苦笑していた。