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にわかには、信じれなかった。


まさか自分のために、こんなに動いてくれる人たちがこのご時世にいるとは……。



募金活動をしてる奴らは、俺にも気付かないくらいに、前を通り過ぎていく歩行者に必死になって呼びかけを続けている。


なに、馬鹿みたいに必死になってんだよ。


自分のことでもねーのにさ、日曜日の朝っぱらからこんな場所に集まって……。


見ず知らずの他人になんかに、頭下げて。


無視されても、それでも…………俺を生かそうと、必死に声枯らして。


「あらぁ、マサト! やっと来たわね」


スマホを片手に持ちながら、嬉しそうに宇佐美ちゃんが駆け寄ってくる。


「宇佐美ちゃん、……」


なにから質問すればいいか、分からなくなった。


変に冷えた空気と、胸の奥からこみ上げる感情が、喉を震わせていて。


なんと言ったらいいのかも、頭が真っ白で言葉が出てこなかった。