別れてから久しぶりにまともに会話を交えるにも関わらず、きっと私はこの時、”なぜ呼び出したのか?”っと訝しむような顔をしていたのだろう。


トオルくんは寂しそうに笑う。


「俺からチケットを渡しても、天音さんは絶対に来てくれないと思ってたから……。だから、アキラにも協力してもらったんだ。天音さんが断りにくいアキラからのお願いなら、来てくれるだろうと思って」



サファイアゾーンに、人影が少なくなってきた。


恐らく、もうすぐ始まる『カレイドスコープ』の大目玉、〔天空の万華鏡〕を観賞するために、城前に移動を始めているのだろう。


『カレイドスコープ』の中央に聳え立つ万華鏡の城から100色の光が夜空に放たれ、天そのもが万華鏡と化す、美しく神秘的な、大人気の野外ショー。


此処に来る人たちはそれをメインにして来ているとは言っても過言では無いほど、価値のあるショーである。



日が落ちるのが早い今の季節は、春や夏と違って夜からではなく、夕暮れ時に開催時間が変更されている。


……前回、私が門限を気にして、見たくても見れなかったショーだ。



マサトとふたりきりにされた恥ずかしさから逃げるようにして、見れなかったショー……。