「さて、………」


次にマサトは、私と向かい合う。


「俺と関係持ってたやつが、迷惑かけてすまねぇ。ポチはあいつに、なにされたんだ?」


「……よく分かったね、私と栗木さんが初対面じゃないって」


「当たり前だろ。お前の顔にそう書いてあったんだから。『俺とアンナが付き合ってるのか?』とか、『おふくろを困らすな』とか、明らかに表情と言動が不自然すぎ。誰かになにか言われたのかとか、なにかあったのかと勘ぐる方が自然だろ?」


数ヶ月間、喋っていなかったはずなのに。


この人を前にすると、そんな時間の空白さえ感じずに話せてしまう。


表情ひとつ見逃さまいとしっかり私を見ていてくれるあなたに、鼓動が早くなる。


「実は、私……トオルくんと別れたんだ」

「はぁ、マジで? アンナのせいでか? 俺が説明してやるから、さっさとトオルと仲直りしろって」


「ううん、…………なんて言ったらいいんだろう、」


もう、伝えてしまいたい。


自我が芽生えてしまった、熱いこの感情を。


私の、本当の……素直な気持ちを。




「私、あなたのことが…………」



喉元までこみ上げる熱を告げようとした、その時だった。