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カナエさんからマサトのすべてを聞いた私は、掛けるべき言葉が見つからず、口を噤んでしまう。



神様はどうして、健やかな生活を送っていた人たちに、こんなにも残酷な運命を用意してしまったのだろう。



マサトは、……きっと。



自分が病魔の洪水に溺れてしまうことも、分かっていて。


どんな痛みを伴おうが、爆弾を抱えた身体に争い続けて、私たちを助けてくれた。


そして私たちが、元気になったのを見届けて……。


自分の役目は終わったと思っている。


私たちの前から、去ろうとしている。