「えっ、……鳳凰、くんは……最近、学校に来てないですよ……?」


ありのままを伝えると、マサトママは忌々し気に唇を噛み締めた。

「あー。やっぱりそうか、アイツ〜……」


どうやら、本人は不登校であることを母親に隠していたらしい。


……これは言ってはいけないことを、言ってしまったのだろうか?

いや、ここまで来たなら引き返せない。


私はスプーンを掴んでいた指を離し、食器の横でグッと拳を作る。


「……あの、鳳凰くんって、病気なんですよね……」


私にできることはないですか、そう続けようとすれば、カナエさんの藍色の声にかき消されてしまった。


「なんだ、ノゾミちゃんは知ってるんだね、アイツのこと…………」


疲弊しきったような呟きの後、カナエさんは息子である彼の過去を、私にすべて教えてくれた。