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(………あっ、)


日陰から二人三脚に参加していた天音さんを見守っていた俺だったが、体勢を崩したマサトを支える彼女を見て唇を噛みしめる。


周りの生徒は勝敗なんて気にさせず、支え合い前に進む彼らに声援を送っている。




(……嗚呼、そうだよな。誰かを支えたいと願う姿というのは、美しいはずなのに……)



ふたりが息を合わせてはにかむたびに、針で心臓を突かれているかのように、チクチクと痛む。



その痛みは、顔をしかめなくてはならないほどに深く。



俺を……徐々に暗い感情へと落としていく。


真面目で静かな青龍院 透という仮面を剥ぎ取り、私利私欲に塗れた醜い俺に変えていく。