…………それからどのくらいの時間、そこにいたのか分からない。


二人三脚でたくさんかいた汗は、完全に乾いてしまっていた。


嗚呼、自分の馬鹿さ加減に嫌になってくる。



中途半端な気持ちで、付き合っちゃダメなんだ。


ましてや、トオルくんみたいに優しい人とは……誠実に向き合ってくれる人とは、こんな気持ちでは。



ぼんやりと下駄箱の裏側を見続けていると、両肩がなにかに揺さぶられる。



「……さん、…………天音さん!」



混濁した意識から戻ってくると、視界いっぱいに広がる、トオルくんの顔。



どうやら中々テントに戻って来ない私を心配したハルカくんに相談されて、私を探しに来てくれたようだ。


それも、全身にびっしょりと汗で濡らしながら、この炎天下の中を必死に。


「天音さん、大丈夫? 誰かに何かされた?」



トオルくんの体操着の匂いに混じって、栗木さんの香水の香りが立ち込める。



涙がぽろりと、こぼれ落ちた。



「…………ごめんね、トオルくん。約束、守れなくて」


「えっ、どうしたの、急に」


眉を下げて困惑する彼の手を、肩から払い落とす。




「付き合う期限は卒業式までだったけど、……ごめん。もう私たち、別れよ……」