……トオルくんなら直接、呼び出してくれそうな気がするんだけど……。


そう思いつつも、もしトオルくんが本当に私を呼んで待っていてくれたならと考えると、この女子生徒の話を無下にもできない。


「……ハルカくん、ごめん。私、ちょっと駐輪場に行って来るね」

「なら、僕も行く!」


一緒に来ようとするハルカくんを、片手で制止する女子生徒。


「だめ。君は来ないで。恋人たちの間に割って入ろうとするなんて、無粋な真似はやめなよ」


鋭い物言いに、ハルカくんは口をつぐんで俯いてしまった。

「………分かった。そういうことなら、僕はテントに戻ってるね。……ノゾミちゃんも、青龍院くんに会ったあとは早くテントに戻って来てね」



私は優しい友人を心配させまいと、明るく振舞って見せる。



「うん、分かった。心配してくれてありがとう、ハルカくん。すぐ戻るから、大丈夫!」