結果、私とマサトは驚異的な加速を見せてゴールテープ直前で白組を追い越し、大逆転勝利。


深く酸素を吸って吐いてを繰り返す自分の呼吸音に混ざって、耳をつんざく赤組の観衆の声、興奮するままに送られる拍手。


「やったな、ポチ」


相方が、拳をこちらに突き出していた。


その顔には、湖にさざなみが広がっていくような笑みが。


まるで世界すべてが笑っているような。


それは私が見たかった、笑顔そのもので。



「当然の結果ですっ!」


突き出された拳に、思い切り拳をぶつけた。


こうして私たちの二人三脚は幕を閉じた。


けれどこのあと、まさかあんなことになるなんて……この時の私は、まだ何も知らないまま。



己の愚かさに無知なままの、……子どもだった。