形勢が逆転した城之内は、泣きながら許しを請おうと土下座しだす。


「わ、悪かったよ……。こ、金輪際は君たちには関わらないよう約束するから、許してくれ……」


そんな戯言を右から左に流して、俺は奥の支柱に隠れている西園 歌恋……城之内の恋人であり、ポチを裏切ったとされる女子生徒に声を掛ける。


「なぁ? そこのアンタにひとつ、聞きたいことがあるんだが」


女子生徒はびくっと肩を震わせ、恐る恐る姿を表す。


「な、なに?」


ポチの友達、いっちゃんとか言う女子から話を聞かされた時から、ずっと引っかかっていたことがあった。


それは……


「アンタがポチ公に罵倒を浴びせてポチ公を突き放したのは、本当にアンタの本心だったのか? アンタが望んで、やったことなのかよ?」