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「……俺さ、お前のこと……」


口にすれば後戻りできないことを自覚しながらも、溢れ出した感情は止まらない。



「やっぱり、好きだわ……」



…………文化祭の当日、ノゾミとつるんでる女子生徒からノゾミがイジメられていたという昔話を聞かされて、腹わたが煮えくり返りそうになった。


イジメたやつらを、殺してやりたいとさえ思った。


どうにかしてあの天真爛漫な笑顔の裏に隠された悲しみを、払拭してやりたいと願った。


けれど、待てど暮らせどチャンスは巡ってはこなかった。



不完全燃焼の気持ちを抱えつつ日々を過ごし、バイトに明け暮れていたある日。



「やっ、」

「おい、いまさら逃げんなよ?」


バイト帰りにたまたま通った道の路地裏で、ポチ公が襲われていた。



「なにしてんの、おたくら?」


気付けば、荒ぶる感情のままに野郎どもを殴り飛ばしていた。


気丈に振る舞うノゾミの姿は痛々しくて、居ても立っても居られず。


「ウチに来いよ。明日は土曜日だしもうすぐおふくろも帰って来るし、一晩くらい泊めてやる」

「ええ!? いいよ、急にそんなの、悪いし……」



ためらう細い手を引き、光の射す道へと足を進める。



「……このまま帰らせるの心配してるって、気付けよ鈍感女」


で、家に連れて来たまでは、良かったんだが……。