「ウチに来いよ。明日は土曜日だしもうすぐおふくろも帰って来るし、一晩くらい泊めてやる」

「ええ!? いいよ、急にそんなの、悪いし……」


正直、こちらとしては身の安全が保障できるし、ありがたいけど……。


歯切れの悪い私を見て彼はなにかを悟った様子だ。


「うるせぇ、黙ってついて来りゃいいーんだよ。それに、トオルの野郎には今から電話して俺から説明しといてやるよ。『唾つけられたくなかったら、明日、俺の家にポチ公を迎えに来い』ってな」


そして私の返答を待たずして、マサトは強引にも手を引っ張り、困惑する私を表通りへと誘う。


「……このまま帰らせるの心配してるって、気付けよ鈍感女」



内心はムッとしたけど、不満は口には出さずそのまま素直に従った。


それよりも彼の優しさが手のひらから熱で伝わって、心臓が破裂してしまいそうで。


少し、泣きそうになった。