吐き気を催す過去から、意識を取り戻す。


両親は壊れかけた私を悪夢から逃すように、転校の手続きをとった。


けれど、どうやったってアイツからは逃げられないんだ。


だって……



「おっ! 君が天音ちゃん? 可愛いーじゃん」
「後輩の城之内からさ、君を好きにしていいって言われてんだよね〜」
「なぁ、あっちの路地裏に行こうぜ?」


体格の良い男3人組が私の反応よりも早くに腕を掴み、明かりのない路地裏に引き込む。


城之内の知り合いだと話す彼らは、おもむろにズボンのチャックを下ろし始めた。


「私が大人しくしていたら、おばあちゃんには手を出さないって約束してください……っ!」


あの苦々しい過去からは、逃げれない。


世間は狭くて、冷たくて。


「分かってるって。とりあえず身体、触らせて?」