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文化祭から、数日後。


「あっちぃ〜〜。なんなん、この暑さ。溶けてまうわぁ」


教室の椅子に踏ん反り返っている白虎町くんが、シャツをはだけさせてウチワで涼んでいる。



カレンダーは7月を迎え、コンクリートの床に太陽の光がまぶしいほど照りかえる。


窓の外に広がるは、巨大ソフトクリームみたいな入道雲。


地面には、木々や校舎の影がより濃く焼き付けられる。


「あっつ。教室の中、マジ蒸し風呂」


暴力的な猛暑をふるう夏が、桜島高校にもやってきました。


休み時間にもなると、教室のあちこちから「暑い」「溶ける」の鬱陶しい声が上がります。



かく言う私も、下敷きで顔を仰ぐ日々が続いています。


「はぁ〜、クーラーが恋しいね、ハルカくん」

「ほんとだね。クーラーのひとつやふたつくらい、買って欲しいよぉ」


ぶつぶつと文句をこぼしていると、次の授業を受け持つ宇佐美先生が教室にやってきた。