ーー……一方その頃、天音 希の元地元では……。



髪色の明るい男女5人ほどが、コンビニの前にたむろっていた。


「あー、マジ学校だりぃよなぁ」


美男子とも言える男子高校生、城之内智広(じょうのうち ともひろ)は成績優秀で学級委員も務める、生徒の鏡のような男子である。


が、しかし…………。


「学生生活最後のクラスだってのによぉ、イジメ甲斐のある奴があんまりいねぇーし。つまんねーよなぁ?」


それはあくまで表の顔であり、裏では教師に隠れて同級生を痛めつけることに快感を覚える悪人である。



同意を求められた城之内の恋人、西園 歌恋(にしぞの かれん)は興味無さそうに自身のネイルを眺めながら、適当に合わせていた。


「あー、確かにネ。でも前にからかってたアマネ ノゾミ? はややこしかったっつーか、ウザかったよね〜」



恋人のカレンにそう話題を振られ、城之内は記憶を手繰り寄せる。


「ああー。あのやたら正義感強かった女? 俺はアイツ、イジメ甲斐があって楽しかったぜ? っつーかさぁ、天音ってカレンの友だちだっただろ? 俺のこと恨んだりしなかったわけ?」


カレンはぴくり、と反応を見せるが、すぐにあっけらかんとした口調で言葉を返す。


「……えー、そうだったっけ? 忘れた。 私にはトモくんがいてくれるだけで良いし別に」

「まっ、そっか。どーでも良いかそんなこと。ははっ」


からかうような、あざ笑うような皮肉めいた悪どい声が、藍色の街に響き渡る。