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「わ、私がトオルくんの恋人に?」


……あれ、俺は何を言ったんだろうか?


天音さんが酷く驚いた顔をしているのを見て、自分の取った行動を思い返す。


『俺の、彼女になってよ』


マサトに泣かされている彼女を見て、つい勢いで言ってしまった。


泣いている天音さんを、守りたいと。


ただその、一心で。



「……ああ、そうだ。言葉の通りだよ」


もう、あとには引き返せない。



「期間限定、でも良い。卒業するまでの間だけ……俺の彼女になって欲しい」


教室内の片隅に置いやって、逃げれないように壁に手をついて彼女の答えすらも塞ぐ。



俺は自分が思っていたよりも貪欲で、強引で。



「願いごとを何でも聞くって、約束だっただろ?」



誰にも渡したくないくらいに、天音さんのことが好きなのだと、改めて実感する。