夕焼けの色と相反するかのように、教室内には青々とした静けさが広がる。



「……トオルくん? ありがとうね、助けに来てくれて」


静寂に耐え切れずに口を開けば、感謝の言葉は広い室内に吸い込まれていった。


「いや、いいよ別に、お礼なんて。でも、たまたま教室に用事があって、帰る途中で引き返して来て良かったよ」



《キーンコーン、カーンコーン……》



頭上で、下校を促すチャイムが鳴る。