そう考えていた矢先、ポチ公と居残りで演劇の練習をしている最中に、いつもの”アレ”が起こる。


「…………っ、」


椅子に座っていても、痛みのあまり呼吸が乱れる。


”死”というものが徐々に、身体を蝕んでいくのを感じる。




「……ね、ねぇ。大丈夫?」



俺の異変を察知して、恐がりながらもポチ公が背中を撫でてきた。


肌を通して感じるお人好しの小さな手の温もりに、歯をくいしばる。


「くそっ……、こんなときに、またかよ……」


バクバクと脈打つ心臓を握り締めている手が、微かに震える。



「えっ?! ちょ、ちょっと、わたし、誰か呼んで来……」


ポチ公が教室から出ようと上半身を捻った瞬間、俺は無意識のうちにその腕を掴んでいた。


「わっ?!」


そのまま引き寄せ、有無を言わさず身体を抱き止めた。