「いただきまーす」


完成した羽根つき餃子を頬張れば、中から熱々の肉汁がたっぷり溢れ出し、痛みが口の中を踊りまわる。


「熱〜っ!!」


涙目で冷えた麦茶を流し込めば、おばあちゃんとトオルくんが笑いながらこちらを見ていた。


「ノゾミはおてんばだねぇ。ゆっくり食べなさい」

「確かに、噛んだ瞬間が危険だなこの餃子」


言ったそばから今度はトオルくんが「熱っ」っと声を上げた。


「ほっほっほ。ノゾミとクラスメイトさんはやることも、雰囲気もよぉ似とるねぇ」


久しぶりの来客に、おばあちゃんもなんだか楽しそうだ。


ラー油をたっぷりかけたポン酢に餃子を浸していたトオルくんが、感謝を口にする。



「こんなに美味しい夕飯をご馳走になって、ありがとうございます。洗い物は俺がするんで、いいですか?」


どこまでも律儀で、しっかり者だなぁと感心してしまう。


きっとこの申し出を断ったとしても、きちんとしたがる彼の気は済まないのだろう。


「私も洗い物するよ、だから一緒にしよ?」