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引き戸をスライドさせて、家の中にいる祖母に帰宅を知らせる。


「おばあちゃん、ただいまー」


「おぉ、ノゾミ。おかえり」


居間からひょっこり顔を出した人物の丸いシルエットに、ホッと胸を下ろす。


靴を脱いで居間に上がると、洗い流したような古びた畳の色と香り、その中にニラや挽き肉の香りが混ざり合っている。


どうやら今日の晩御飯は、餃子のようだ。


(餃子か〜、おばあちゃんの作る餃子は格別美味しいんだよね)、なんてテンションを上げながら、今日出された課題を口にする。


「ねぇねぇ、私の長所ってなんだと思う?」


「んー? ノゾミの長所かい?」


キッチンで餃子のタネを捏ねている祖母は、「あらやだ」っと眉を八の字に曲げた。