さながら面接のような質問に身構える。


「長所と、短所…………」


うーん、っと唸ってみるも長所なんてさっぱり思い浮かばない。


そもそも、『私、自分のこういうところが好きだなぁ』なんて、思ったこともないし……。


いざ答えてみてと言われたところで、スッと出てこない悲しさ。


「……短所なら、たくさん思い付くんですけど……」

「良いわよ? 言ってみて?」


イケメンにそう誘導されれば、なんの躊躇いもなく思い浮かぶ限りの自分のダメな部分を口にする。


「えーっと、後先考えずに動いちゃうとか、思ったことをそのままストレートに相手に伝えちゃったりとか、学校の勉強は嫌いだし、運動はあまり得意じゃない……、です」

「あら、素晴らしいわね。これだけ自分のことを見つめられる子なんて、中々いないわよ」


ネガティヴ発言を連発すれば、宇佐美先生は怒るどころか褒めてくれた。


ちょっぴり、自信を取り戻す。



「じゃっ、最後の質問ね、天音さん。貴方は将来、何になれると思う?」


漠然とした、壮大なテーマに思考も停止する。


「……すみません、分かりま……」

「答えはね、”何にでもなれる”、のよ?」


真っ暗闇だった未来に、一筋の光が見えたような気がした。