「……っというわけで、勉強教えてください!」

「断る」

放課後、颯爽と教室を後にしようとする青龍院くんを引き止めれば、速攻で断られてしまった。


「天音さんのことが嫌いだとか、そんな理由じゃない。ただ、問題児ふたりとスポーツマンひとり、そこに天音さんが加わった合計4人の勉強を教えてやれる技量は、俺にはないよ」


問題児ふたり……っというのは、マサトと白虎町くんのことだろう。


スポーツマンとは、玄武くんのことかな?


「悪いけど、もう行ってもいいか?」

切れ長の瞳を伏せれば、青龍院くんは美男子そのものだった。



「そっ、そこをなんとか……お願いします。青龍院くんからのお願い、なんでもひとつお聞きしますので……」


乱雑に椅子を置いて、クラスメイト達はぞろぞろと茜さす教室を出て行く。


「だから、無理なもんは無理だって、」

再び断りを入れられようとしたその時、青龍院くんの背中に激しいタックルがかまされた。

「トオルぅ〜〜、今日も勉強会よろしくお願いしまーっす」


ドゴォッ、っと鈍い音を立てながら突っ込んで来たのは、やけにテンションの高い白虎町くんだった。


暗くなるにつれて元気になるなんて、まるで猫みたいな人である。