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バスケ騒動が落ち着いたある日の放課後、私は騒がしい連中と一緒に生物室を掃除していた。


っといっても、真面目に掃除しているのは私と数人くらいで……。


ではここで、掃除の班員を紹介します。


「生物室ってなんかワクワクするよなー」
「あ、それ分かるわ〜」

雑巾を放り出して水槽の中を泳ぐ魚を覗いているのは、この高校のトップに君臨する覇王の鳳凰 正人と、その友人の白虎町くん。


「マサト、ヨウ。早く掃除終わらなせないと、いつまで経っても帰れないぞ」

ほうきで床を掃きながら遊んでいる野郎に注意してくれているこの班唯一の良心は、最近バスケ部に復活して総体に向けて頑張っている、バスケ部エースの玄武くん。


「…………」

玄武くんから渡されるゴミをちりとりで受け取り、もう片方の手に参考書を持って読んでいるのは、学年イチの頭脳を誇る青龍院 透くん。


あともうひとりは……

「あ、天音さん、ぼ、僕たちだけでも掃除がんばろうね、デュフフ……」


顔面から油を吹き出している、初日にイジメられていた、眼鏡をかけたオタクくん。


「う、うん。そうだね。がんばろっか」

全身からの熱気が伝わって来そうなくらいに顔を近づけられて苦笑いを浮かべれば、オタクくんは歓喜を表現し出す。


「うひょー! ぼ、ぼく、フォカヌポウ! 女の子と、デュフフコポォ!オウフドプフォ、喋ってしまいましたよ!グフフ、フォカヌポウ!」


このオタクくんは笑い方が独特すぎて、距離を置いてしまうのが正直なところです。