「なんでお前達が、ここに居るんだ……?」

「私が呼んだの」

玄武くんの驚きに答えたのは、小雪さんだった。

小雪さんは私の肩に手を置き、「さっきは湯沢コーチを呼び止めてくれてありがとう」っと透き通る声でお礼を述べてくれた。


ズイッと前に出て、胸の辺りでスマホを握り締める。

「ちゃんと事実を知って欲しくて、私が今までのことをバスケ部のみんなに全部話したの。今日の勝負のことも……。玄武くんへの誤解を、解いて欲しくって」


好きでもない男に下着を撮られたという恥部を晒した彼女の勇気は、どれほどのものだったのだろうか。

俯き、震える小雪さんを庇うようにして、バスケ部がぞろぞろとレンタルコートに入って来る。

「今まで勘違いして、ごめん。アキラが人を殴るような奴じゃないって、分かっていたのに……大人のいいなりになって、信じてやれなくて……本当に情けねぇ」


彼らは私やマサト、社会人に頭を深く下げた。

「アキラを助けてくれて、ありがとうございます」


そして逃げようとしていた湯沢コーチに侮蔑の視線をくれてやる。


「もうアンタのことなんか信じねぇよ。バスケ部のコーチはやらなくていいから、消えてくれ。顧問にもありのままを伝えといてやるからよ」