「放せや、このブス!」
「きゃっ、」

衝撃で思わずドテンッ、と大きな尻餅をつく。


(うぉぉぉ、いたぁ〜い!! これは明日、青アザになるやつだ……)


ヒリつく臀部を抑えてキッと睨み上げると、目の前に大きな影が重なる。


「おい、テメェ。どこまで腐ってんだよ、ああ?」


それは怒りに身を任せたマサトの、大きな背中で。


「謝りもせずに逃げるなんざ、ちゃんと筋通して戦ったアキラも侮辱してるしよぉ、そこの女にも手ぇ上げやがって……マジ殴り倒してやろうか?」

グッと胸ぐらを掴んで顔を引き寄せ、一触即発な雰囲気である。


「ま、待ってマサト! 殴ったらダメだってば! 退学って言われてるんでしょ?!」


急いで立ち上がり、怪我していないことをアピールするが。


「……今の話、全部本当なのか?」


その場に溢れていた怒りを鎮めたのは、全く別の存在たちだった。


「あ、お前ら……」

玄武くんの声に導かれるままに出入り口に目を向けると、そこには練習試合帰りの桜島高校バスケ部がいた。