ー『すみません、初対面なのにこんなことを頼んじゃって……』ー


あの人の涙が、忘れられない。


「きっと小雪さん、自分のせいで玄武くんが部活を辞めたんじゃないかって、まだ苦しんでると思う。だから、初対面の私にまであんなに必死に手紙を渡してってお願いしてきたんじゃないかな……」

女の子が涙を流すのは、なにか大切な理由があるから。

そう付け加えると、小さく息を吐いて眉間のシワを緩めた玄武くんが、「そうするよ」っと頷いた。


「無関係の天音さんまで巻き込んでしまって、すまない。日曜日、俺は全てにケリをつけるよ」


話にひと段落ついたところで、玄武くんが直前まで混ざっていた社会人チームの方々が、わっとこちらに近づいてきた。


「なんだ、前からやたらバスケ上手いなぁと思ってたら、桜島高校のバスケ部だったのかよー。隠してたのかぁ、玄武〜?」

どうやら彼らは玄武くんの素性を知らぬまま、チームに招き入れていたようである。