玄武くんの頭の中には、苦しくも大好きだった部活の思い出が駆け巡っているのだろう。


「3年に進級する直前、俺は同じクラスのマネージャー、小雪が部活に顔を出す頻度が少なくなってることに気付いたんだ」


「あ、小雪さんってそう言えば……」



その名前に私は、聞き覚えがあった。


小雪さんとは、今日の朝に玄武くん宛ての手紙を渡してきた、あの女子生徒である。


「なんだよ、ポチ。知り合いか?」

「もしかして、あの手紙となにか関係が……」



私の呟きを拾った玄武くんが、意味深に頷く。


「気になって部活に来ない理由を彼女に話を聞けば、そこにはOB湯沢コーチが絡んでいることを知った……」