互いにぶつかり合い、押し合いながら位置に着く。


私も負けじと良いポジショニングを取ろうと、大学生に地味なヒップアタックをかましていた。


(うゔ〜、あんまり押さないでよねっ)

これは明日、筋肉痛になること間違いなしである。

「じゃぁ、行っくよ〜」

ゲームに不参加のハルカくんが真ん中で、頭上に高くボールを放り投げる。

その数秒後に睨み合っていたマサトとキャップ帽の男が上空に舞い上がり、勝負を握るひとつのボール目掛けて腕を伸ばした。


先に微かにボールに触れたのは、マサトだった。


「っしゃぁ! 走れパーカー野郎!」

バチィッと球体をはたき落として両手でキャッチし着地すれば、敵を威嚇するように声を張り上げ、味方を呼ぶ。

「…………分かってるよ、」


謎の人物は呼びかけに対して小さく呟き、大学生たちのマークを振り切って駆け出す。