【プロローグ】
はっ…………はっ………

「いたぞ、あそこだ!」

「もう逃げられないぞ!この化け物、いや。」

"殺人鬼が!!"

ちっ、もう少し長く、誤魔化せると思ったんですけどねぇ。まぁ正直もう指名手配もとっくに世界中にされてましたし、そろそろだとは思いましたけれど。

「おい、止まれ、メイ・アルファリオン!」

「貴様には銃殺の許可も降りてるんだぞ!」

銃殺………ねぇ。

「……人を殺したことすらないおぼっちゃま達の癖に、よくそんなこと言えますよねぇ。尊敬しちゃいます」

「何をブツブツ言ってるんだ……?」

「耳を傾けるな!射撃用ー意!」

やば、このままじゃ死んじまいますね。

「Arrêter!Arrêter!あれ、Arrêterじゃないんでしたっけ?えーと、ストップ?止まれ?」

「何を言ってるんだ……?」

警察達は銃を持つ手を下げない。
私は仕方なく手を上に挙げ、降参の意を示した。

「もう、無駄な抵抗はやめますよ。」

「は………」

「理解力の無い馬鹿ばかりですねぇ……捕まる、投降すると言っているんですよ。」

一瞬その場にいる全員がぽかんとする。次の瞬間、弾けるように警官らが私に向かって飛びかかってくる。そして、私が無抵抗に差し出した両手に手錠をかけた。

意外に手錠って重いんですねぇ。この様子をアイツが見たらなんて言うんですかね?

バカ?

何捕まってんだ?

もっと殺せ?

まぁもう関係無いか。

「■月□日15:35、メイ・アルファリオンを拘束!これより、其方に送還します。」

こうして、私メイ・アルファリオンは捕まり、死刑囚を裁くための最高ランクの、リチャードの墓場へと送られた。