Shooting☆Star

関係者用の駐車場に会社の車を停めて、トランクから荷物を引っ張り出す。
百香は大きなカゴに詰めた荷物を抱えて、車から降りた祐樹と拓巳と一緒にホールの通用口へと向かう。
イベント時の関係者入り口での待ち伏せは禁止されているのだが、一部のファンは聞く耳を持たない。
今日も少なくない人数の女の子達が、いくつかのグループになって“溜まって”いた。
「あ。年少組きたよ!!」
ひとりが声をあげると、彼女達が一斉に振り返る。
「相手にしないでいいから。さっさと中に入ってね。」
百香が二人に告げると、拓巳は「わかってるよ。」と、不満そうに声を上げた。
「なにアレ、感じ悪い。」
女の子達が百香を睨む。
百香は気にも止めない様子で、隣を歩く拓巳に、他に聞こえないように小声で話しかける。
「拓巳、ユウくんをお願い。」
「任せて!」と笑って、珍しいな、と拓巳は思う。モモちゃんが僕を頼るなんて。
百香は表情にこそ出さないとはいえ、不安そうなのが拓巳にはわかる。
それもそうだろう。百香と祐樹が週刊誌に取り上げられて、まだ一週間だ。
そういう時は、いつもはファンサービス多めな拓巳でさえ、ファンとの接触は緊張する。

ダイチからは、弘也と一緒に既に楽屋に着いていると連絡があった。
彼女達の言葉を借りるなら、年長組の二人。
秀と圭太は本間さんが迎えに行っている筈だ。
真ん中ってなんだろう?年少組と年長組の間は、やっぱり年中組なのだろうか……?
幼稚園みたいだな。
30と5歳。30と6歳。30と7歳が、ふたり。30と8歳。30と9歳。
それだと幼稚園じゃなくて小学校だな……。
百香は、くだらないと思いながら、そんなことを考える。
ぎゃあぎゃあ騒ぐファンに詰め寄られ、後ろを振り返る。
視界の隅でひとりの女の子が集団から少し離れて、しゃがみ込むのが見えた。
百香の横を歩く祐樹に別の少女が詰め寄る。
「祐樹くん!あれ、嘘だよね!?アタシあんなの信じないよ!」
一際大きな声で叫ぶようにして祐樹に手を伸ばした少女の前を、遮るように拓巳が割り込む。
「二人とも!中に入って!早く!!」
百香は通用口に駆け寄ると、いつものように祐樹と拓巳を促す。
[部外者立ち入り禁止]と張り紙されたドアを開けると急いで通路に並ぶテーブルに荷物を置き、守衛室を兼ねた受け付け窓口のスタッフに「裏の警備増やして。あと、救護の人、来てる?先生じゃなくてもいいから呼んで。外にいるから。」と声を掛ける。
「どうしたの?」
後から入ってきた祐樹が通りすぎようとして、不思議そうに振り返る。
百香はその質問には答えずに、
「ユウくんと拓巳は、先に楽屋行ってて。あ、どっちか、その荷物お願い。」
と言って、自分の鞄だけ持ち、再び通用口のドアに手を掛けた。