社長の会社には、怖くて
あれから行っていない。

もし……無かったら

会社まで存在していなかったら
そう思うと近くを通ることも出来なかった。

やっぱり。
あれは、夢だったのだろうか?

最後に見た……あの笑顔。

あれは、私が理想を求めるあまり
夢として見た幻だったの?

うぅっ……頭が痛い。

桜の木をフッと見てみる。
満開の桜は、綺麗だが……社長の方が
何倍も綺麗だった。

会いたい……また幻でいいから。

その時だった。
強い風が吹いて視界を妨害される。

すると何処からか声が聞こえてきた。

「俺が寝ている間に。
記憶を消されているんじゃねぇーぞ?響」

えっ……?