ハッと思い私は、胸元を確かめる。

もし、あれが夢ではないなら
月ノ宮一族の家紋
三日月のアザが消えているはず。

しかし、胸元には
ハッキリと三日月のアザが刻み込まれていた。

そんな……!?

私は、絶望した。
全て否定されたような思いだった。

「きっと……疲れが溜まっていたのね。
脳波の検査は、大丈夫だったみたいだけど
検査入院ですって。
しばらくゆっくり休みなさい」

そう言い母は、私を無理やり横にさせた。
私は、唖然としていた。

本当に……これは、夢だったのだろうか?

私は、何か大切な事を忘れているような
気がしてならなかった。

それから1年が過ぎて春の季節になった。
記憶は、未だに曖昧のままだった。

私は、無事に退院して別の会社に就職したが
何処か引っかかる部分が残っている。

時間のずれもだが……。