「今日は、この姿に居る。
この姿なら、まだ諦めがつく。
人間の姿で手が出せないとなると生き地獄だからな」
社長は、ブツブツと文句を言っていた。
えっ?それって……。
考えたら身体中が熱くなってきた。
じゃあ、私のために
ずっとあのままに居るってこと!?
確かに人間の姿だと
こちらまでドキドキしてしまうけど
社長もそれなりに私に気を遣ってくれてるんだ?
心臓がまた、ドキドキと高鳴ってしまった。
社長の優しさは、
何だか分かりにくい……。
食事を済ませると私は、
食器を洗い後片付けをしていた。
社長は、ずっと
キツネの姿のままソファーでくつろいでいた。
そこから見てるとペットを飼っている気分だ。
「社長。そろそろお風呂が沸くので
先に入って下さい」
しかし返事はない。



